中学3年理科。今日は仕事の原理について学習します。滑車や斜面、てこの計算です。
- レベル★★★★
- 重要度★★★☆
- ポイント:道具を使っても仕事の大きさは同じ
道具を使った仕事
ここまで、仕事の計算方法を学習してきました。物体を重力に逆らって引き上げる場合や、摩擦力に逆らって物体を水平に引く計算を行いましたが、今日は様々な道具を使った仕事の計算に挑戦します。
ここで重要になるのが、仕事の原理という考え方です。
仕事の原理
仕事の原理とは、道具を使って物体を持ち上げたり、移動させたりしても、道具を使わないときと仕事の大きさが変わらないという原理です。
必要な力の大きさは小さくなりますが、その分移動させる距離が長くなり、結局仕事の大きさが変わらないという原理になります。
この仕事の原理を活用した計算が登場しますので、しっかり練習していきましょう。
次の文章の( )内に、適する語を入れよ。
解答①小さく ②大きく(長く) ③仕事の原理
色々な道具
今回登場する道具は、4種類です。
- 定滑車
- 動滑車
- 斜面
- てこ
この他にも輪軸などの道具もありますが、基本的に上記の道具をマスターできれば大丈夫でしょう。
定滑車
定滑車とは、天井や床などに固定されている滑車です。定滑車には力の向きを変えるという役割があります。ただ力の向きを変えるだけの道具ですので、そのまま物体を持ち上げるときと力の大きさは変化しません。引っ張る距離も変わりません。
右の図のような滑車を使って、質量2kgの物体を4mの高さまで引き上げた。
(1)右図のような滑車を何というか。
(2)何Nの力でロープを引けばよいか。
(3)何mロープを引けばよいか。
(4)仕事の大きさは何Jになるか。
解答(1)定滑車 (2)20N (3)4m (4)80J
動滑車
動滑車とは、物体が上下すると、滑車自体も上下する滑車になります。力を2方向に分けるはたらきがあるので、物体を引き上げる力が半分になるのが特徴です。つまり、重たいものを弱い力で引き上げるのに使用される道具です。しかし、引く距離が2倍に増えるので、結局仕事の大きさは変化しません。
右の図のような滑車を使って、質量2kgの物体を4mの高さまで引き上げた。ただし、滑車の重さは考えないものとする。
(1)右図Aのような滑車を何というか。
(2)何Nの力でロープを引けばよいか。
(3)何mロープを引けばよいか。
(4)仕事の大きさは何Jになるか。
解答(1)動滑車 (2)10N (3)8m (4)80J
斜面
斜面も古くから活用されてきた道具です。真上に物体を引き上げるよりも斜面に沿って物体を引き上げる方が、弱い力で物体を高い場所に引き上げることができます。しかし、斜面も引き上げる距離が長くなるので、結局仕事の大きさは変わりません。
右の図のような斜面を使って、質量2kgの物体を30cmの高さまで引き上げた。ただし、斜面の摩擦は考えないものとする。
(1)このときの仕事は何Jか
(2)このときばねばかりは何Nを示しているか。
解答(1)6J (2)10N
(1)斜面を使わずに、そのまま引き上げたときの仕事を考える
20N×0.3m=6J
(2)斜面に沿って引き上げたときも仕事の大きさは変わらないので、
6J÷0.6m=10N
てこ
てことは、支点から作用点までの距離、支点から力点までの距離の差を利用した道具です。てこを使えば、重たいものを弱い力で持ち上げることができます。実際にてこを利用した道具で世の中はあふれかえっています。てこも弱い力で物体を持ち上げられますが、その分てこを動かす距離は長くなり、結局仕事の大きさは変わりません。
下の図のようなてこを使って、質量2kgの物体Pを20cmの高さまで持ち上げた。ただし、てこの重さは考えないものとする。
(1)てこを押す力は何N必要か。
(2)物体Pが受けた仕事の大きさは何Jか。
(3)てこを押した手がした仕事は何Jか。
解答(1)10N (2)4J (3)4J
(1)うでの長さの比と力の大きさの比は逆比になる。
(2)20N×0.2m=4J
(3)10N×0.4m=4J
ここまで、簡単に様々な道具を説明してきましたが、計算に慣れるまで繰り返しが必要です。学校の問題集などを使って繰り返し練習しましょう。
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