春の耕作の方法を宮崎安貞の『農業全書』に学ぶ

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寒い冬も終わり、植物たちが一斉に芽吹く春。農業を始めようと考えている人はこの時期から畑を耕す人が多くなるのではないでしょうか。春蒔きの野菜の種類は非常に多く、この春にしっかり畑を耕し種をまいておくことで、夏にはたくさんの野菜を手にすることができます。今日は春の畑の耕し方を、福岡の農業の偉人である宮崎安貞が書いた『農業全書』に学んでみます。

宮崎安貞『農業全書』春の耕し

宮崎安貞が書き上げた『農業全書』は、西日本の老農などから聞き出した農業の知識、自分が実践してきた農法などを事細かく記載しています。網羅性が強く大変優れた農業書となっています。

耕作についても季節ごとやポイントをしっかりとまとめ上げています。今日はその中の春の耕作についてまとめてみます。ポイントは自然を知って、自然の理を十分に生かすことです。

又古語にもいへるごとく一年の計は春の耕にあり、一日の計は鶏鳴にある事なれば、未明より起きて天氣の晴雨をよく見はかりて猶其日 の手くばりを定むべし。

昔の人が言っています。 一年の計は春の耕にあって、一日の計はニワトリのコケコッコーに始まるということは、朝早く起きて、天気がどうなのかをよく見て予想し、今日は何をすべきか段取りを決めるようことが大切である。

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春の耕作

さて春の耕しは冬至より五十五日に当る時分、菖蒲の初めてめだつをみて耕し始むる物なり。菖蒲は百草に先立ちて生ずる物なれば、是を目当とする事也。
此外其所の草木のめだちに時分時分の目つけ心覺えすべし。すべて田畠共に一村の内にしても所により陽氣の遅速ある事なれば、寒氣の早くしりぞく所より段々に耕す心得すべし。

春に畑を耕すには、冬至から55日経過した日、菖蒲が芽生えるのを見て耕し始めるといいです。というのも、菖蒲はいろんな植物の中でも早く芽生える植物であるから、これをサインとして活用するべし。
その他にも、あなたが住んでいる地域の草木の芽生えの時期を見つけて覚えることも大切です。 全てのそれぞれの田畑は、農村内の畑でも場所によって陽気(日当たりや風当り、土地の性質)の違いや遅い速いがあるので、日当たりが十分によく寒気が早く後退する場所から順々に耕すように心がけましょう。

冬至とは、一年の中で太陽が最も南に寄り、南中高度が低く、北半球では昼が最も短い日になります。言い方を変えると日照時間が一番短く、植物にとってはまさに夜の状態になります。毎年12月22日ごろが冬至に当たります。この日から55日経過した日は、おおよそ2月の中旬あたりです。まだまだ寒い日が続く季節ですが、この時期からの耕作が大事なようです。

耕した後は?

又春の耕しは手に尋いで勞すとて、 犂きてそのまま耙(むまぐは)にてかくべし。いかんとなれば、春は風おほきゆへすきてかゝずそのまゝをけば、土かはき過ぎ、 うつけて性ぬくるものなり。

春に畑を耕すのは手で耕すくらいに苦労するといいます。鋤で畑を耕したらすぐにクワで掻いて畑を平らにならしておかないといけません。なぜなら、春は風が強い日が多いので、耕したままで放置すると、土は乾燥し過ぎ、虚けて土の精が抜けてしまうのです。

耕した後に畑をしっかりとならすことも大切のようです。2月中旬ですから、まだまだ作付けをしない時期です。耕した後の処置も大事なようです。

いつまで耕せる?

又耕すに時節をうしなふべからず、五六月は耕すとも7月は必ず耕すべからず。

畑を耕すには時節を間違ってはいけません。5、6月までは耕しても良いが、7月まで引っぱって遅く耕してはいけません。

梅雨が始まる前までにはしっかりと耕し、畑の精が抜けないように管理することも大切です。

休耕地を耕す場合

又曰く、初の耕しは深きをよしとす。重ねて段々すく事はさのみ深きをこのまず。初の耕し深からざれば土地熟せず。
重ねてすく事ふかくして生土(なまつち)をうごかせば、毒氣上にあがりて却てうへ物いたむものなり。但是は荒しをきたるを耕す事を云ふなり。

畑を初めて耕すときは深く耕すことがいいと言われます。 その後、段々と耕すときは、それほど深く耕さない方がいいです。初めの耕し方が浅いと、土地が熟しません。その後段々と耕す時は、深く耕して生土を動かすと、毒気が昇ってきてしまい、却って作物が傷むのです。ただしこれは、長く間放棄された休耕地などの荒れ地耕す時の方法です。

始め深く耕し、だんだんと浅く耕していくようですね。おそらく、深く耕さないと、植物が十分に根が張れず、通気性や排水性も改善しないからだと思われます。

いつもの畑を耕す場合

熟地をつねに耕すはしからず。先初はうすくすきて草を殺し、段々深くして種子を蒔くべき前は底の生土をうごかすべからず。たね生土の毒氣にあたりて生じがたく、さかへがたし。

普段使っている畑である熟地の耕し方は、前述した内容とは違います。最初は薄く耕して草を殺し、その後、段々と深く耕していき、種子を蒔く時期の前ぐらいには、底の生土を動かしてはいけません。種子が、生土の近くに蒔かれるとその毒気に当てられて、発芽しなかったり育たなかったりするのです。

休耕地と普段使用している畑の耕し方は全く逆のようです。これも休耕地を耕す場合のポイントになりそうです。

まとめ

今後は、農業全書をもとに実際に畑を耕していきたいと思います。現代農法との比較も交えながら実践してい行きます。

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